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僕の就活日記

今日は普段と趣向を変えて、僕の法律事務所の就活について書こうと思う。

5月に司法試験を受験した。企業法務系の事務所に行きたかった僕は、合格発表を待たずに、必ず合格していると確信を持って、張り切って試験終了の翌日から就職活動をスタートさせた。

当時、司法試験の合格発表を待たずに早々に採用活動を開始する法律事務所は、弁護士が数百人規模の5大法律事務所、外資系法律事務所、大江橋等の関西4大の一部、桃尾松尾難波や岩田合同等の名門の企業法務系法律事務所のほか、ホームページ集客で有名なアディーレ、ベリーベスト等がメインで、それ以外の一般の法律事務所はこの時点では、まだ採用活動を開始していなかった。ちなみにこれは10年ほど前の話で、今では、もっと法律事務所側の内定決定時期は早まり、予備試験合格者やロースクール生を対象にしたサマークラーク、ウィンタークラークをやる法律事務所が増えている。司法試験合格前どころか、受験前に早々に内定を出すような事務所も増えており、人材確保の競争は激しさを増している感がある。

大学別で言うと、僕の所属していたロースクールだとGPAが司法試験の合格ライン(上位3割)で英語もできないとなると、アディーレやベリーベストは別として、合格発表前の早い時期に募集をかけてくる名門事務所には受からないし、そもそも面接にも呼ばれない。とはいえ、受けないのは後悔するだろうし、落ちても経験にはなるということで履歴書は出せるだけすべて出した。あとは、ロースクールでマナー研修(部屋の入り方や名刺の渡し方)を受けたり、一対一で、面接の練習をしてもらったりした。

予想通り、履歴書を出した先から、ボコボコ景気良く落とされながら、たまに呼ばれた面接を経験して、履歴書や面接での応対を少しずつブラッシュアップさせ、8月の終わりころになるとようやく一次面接を突破して、2次次面接にも進めところが出始めた。とはいっても、内定まではとれないのだが、それまで履歴書で落とされたり、一次面接で落とされることばかりだったので(だいたい9月中旬の合格発表までに30箇所ぐらい落ちていた)、自分の中では良くなっている手応えを感じていた。

当時は、予備試験合格者や名門の東大、一橋ローでも司法試験の合格発表時に内定をもらっている人は4割ぐらいだったので、内定が取れなくても全く焦らなかった。30もの法律事務所に履歴書を送ったのはやりすぎだったけれども、合格発表までにいろいろ経験できてよかったぐらいに呑気に構えていた。そして、9月の合格発表では、無事に合格。予想通りだったのでそれほど喜びはなく、安心したという感じだった。ちなみに僕の時代は、合格発表の後に司法試験の順位を重視する老舗の企業法務系の事務所が採用活動をスタートさせ、それに釣られるように多くの法律事務所も募集を開始していた。当時は、12月から司法修習が始まり、和光の研修所で一斉に授業受ける導入修習が始まり、1月から全国各地に配置され、地方での修習となるので、合格発表から3ヶ月半の12月までが、僕のような関東圏での就職を希望する者にとっては勝負の期間となる。

司法試験には無事受かったものの、合格順位は平凡だったので、順位で抜きん出ることも難しかった。
そこで、戦略を練った。僕のロースクールや合格順位では、都内での有名企業法務系の事務所は難しいだろうと思い、福岡、水戸、前橋、千葉、さいたま、横浜といった優良企業のクライアントを抱える手堅い事務所にも対象を広げて、履歴書送り始めた。法律事務所の勤務が第一希望だったが、インハウスで日銀など大手の銀行にも応募した。合格発表前に就活の訓練したのが効いたのか、2次面接・3次面接にも進めるようになってきたが、なかなか最後の内定がもらえず、11月に入ってくると、周りの同期の就職先がかなり決まってきて、僕も焦るようになってきた。ロースクールやサークルのゼミで司法試験の指導してくれた先生が「合格祝賀会」をやってくれたが、当時の僕は就活の疲れや焦りでかなり顔色が悪かったらしい(その先生は「試験に落ちた人を励ます会」もやっていたが、自分は試験に落ちた人より顔が死んでいたらしい)。そりゃ、就活で断られた回数も60の大台に乗ってくるとなれば顔も死んでくる。その頃、光風法律事務所の募集が弁護士会の求人サイトに出ているのも見て、ここいいなぁと思ったが、クライアントが大企業がメインなので、自分では受かる確率は低いだろうと思った。地方に修習に行く前になんとか就職先を決めたかったので、より受かりそうなところを優先して面接をしているうちに、案の定、採用がすぐに決まったようで、光風の募集要項は消えていた。

落ちた事務所が70を越えてきたところで、年明けに地方に赴任する前に、ようやく一つ内定が出た。関東圏の企業法務系の事務所で、上場企業から中小企業まで手広く顧問をしており、行政の顧問や、地元の名士の顧問もしていて、公取や査察などへの対応もあるらしく、自分がやりたい仕事と合っていたので、頑張った甲斐があったと嬉しかった。しかし、ある事情あり、その事務所には就職しないこととなり、再度、就活を始めることになる。

僕の就活は終わらない(後編につづく)。